9期生 Aさん
はじめに・・・日本語教員になろうと思われたきっかけは何ですか。
きっかけは、中国での経験です。 大学3年生まで、目標もなくダラダラと大学生活を送っていましたが、ある日台風で一日中家か ら出られないことがあり、悶々と「このまま就職活動を始めてもいいのだろうか」と考え、ふと
古別府先生がアシスタントの話をされていたことを思い出しました。そして、幸運にも中国の曲 阜師範大学で1年ほどアシスタントをするという機会をいただきました。
中国では、知識も経験もなく、授業もボロボロなのに、「教師」という立場にありました。そし て、こんな自分が「教師」でいられる理由は、「日本人」であるということだけなのだと痛感し
ました。この経験がもとで、学習者にわかりやすい授業ができるような「専門性」を持ちたいと 思うようになりました。このように、中国での経験(もしくは台風)が、出発点になっています。
1)日本度教員養成課程を受講しようと思われたきっかけは何ですか。
ただ山口県に住みたいという理由で大学、学部を選んだため、受講当初は「日本語教師」という仕事すら、いまいちわかっていませんでした。なんとなく、国語が好きだったので選びました。(恥ずかしいです……)
2)日本語教育実習の中で一番印象に残っている事は何ですか。
初めての実習です。朝早く教室で準備したこと、授業中に古別府先生の表情が目に入って凍りついたこと、そして反省会……。
3)日本語教員養成課程で一番印象に残っていることは何ですか。
日本語国際センターを訪問したことです。熱心に日本語教育のスキルを上げるため、努力されている各国の先生方と交流でき、日本語教育界の広さ、大きさを目の当たりにすることができました。
4)在学中の勉強が今どのように生かされていると思いますか。
古別府先生が授業中おっしゃっていたことばは、今でも教訓になっています。
たとえば、「場面を明確に!文脈を大切に!」などです。
5)在学中にやっておけばよかったと思うことはありますか。また、それは何ですか。
中国へ行くまでの講義を、もう少し真剣に受けておけばよかったと反省しています。
県立大学には、『基礎表現50とその教え方』、『日本語教科書の落とし穴』などを参考に、非常に大切な文法事項を学べる授業がありましたが、今になって、その重要性を痛感しています。
6)日本語教師として働き始めて何年目になりますか。
3年目です(非常勤1年半、常勤半年)
7)現在どのようなところで教えていますか。
福岡日本語学校
8)週に何コマ程教えていますか。
(45分)×20コマ
9)対象はどのような人で、また1クラスの人数はどのくらいですか。
就学生(9割が中国国籍)、1クラス約20人
10)教材は何を使用していますか。また、具体的な教え方なども簡単に教えてください。
『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク):直接法、絵カードなどを利用して
『中級日本語』(留学生日本語教育センター) :留学試験、能力試験対策も交えて
『生きた素材で学ぶ中級から上級への日本語』(The Japan Times):同上
『中上級日本語教科書 日本への招待』(東京大学出版会):同上+大学で学ぶための準備
11)待遇について教えていただけますか。
決して贅沢はできませんが、十分一人暮らしができる程度です。
12)現在教えていて一番難しく感じることは何ですか。
教室の雰囲気づくりです。いくら授業準備をしていても、学習者が積極的に参加してくれなければ、授業はうまくいきません。動機づけをしっかりして、授業に集中させること、これがなかなか難しいです。
13)現在教えていて一番やりがいのあることは何ですか。
学習者が、出身地や母語のことなどを日本語で発信してくれるようになったときです。
14)日本語教師になって良かったと思うことや、苦労したことなど、なんでもいいので教えてください。
よかったことは、好きなこと・興味のあることを毎日できることです。教案づくりや授業は決して楽ではありませんが、結局は経験や知識 として自分の財産になると思います。
苦労したことは、思い出せません。
15)日本語教師としての理想と現状に差はありますか。また、それは何ですか。
(無回答)
16)これから目指していきたいと思われることは何ですか。
「考えることができる日本語教師」になりたいです。現場に夢中になるのはもちろん必要ですが、時にはそこから距離をおいて、自分のやっていることを冷静に見つめることができればと思っています。自分のやっていることが「正しい」などとは思わず、「なぜ日本語を教えているんだろう」とか、「学習者のためってなんなんだろう」とか、すぐに答えの出せない問いを繰り返していきたいです。
17)今後も日本語教師を続けていきたいと思いますか。また、それはなぜですか。
もちろんです。こんなダメダメ教師のまま終わってはならないと思っています。
18)後輩へのメッセージをお願いします。
日本語教師になりたい人も、そうでない人も、古別府先生から学べることはたくさんあると思います。思いっきり悩んで、がんばってください。