◎実習生:福原亜紀子
◎実習校
Murdoch
college
◎住所
Car Park 1 Murdoch University Campus, South St Murdoch, Western Australia6150
◎学校の特色・様子
男女共学の私立校で、大学やセンターと同じ敷地内にあり中学・高校の建物は校舎、図書館、カフェテリアくらいで割と小さめの学校。
演劇に力をいれていて全校生徒が出演する大きな発表会があったり、そのためのdoramaという独自の科目などがある。
外国語として日本語か中国語のどちらかを選択して学ばなければいけない。
先生たちは空きコマや休憩はスタッフラウンジで過ごしていて、金曜日の小休憩には、手作りのお菓子を持ち寄ったりケータリングがあったりでちょっとしたパーティみたいで楽しい。
また、たくさんの留学生を受け入れていて(比率は現地の生徒63.4%、外国人留学生36.6%)主にアジアからの学生が多かった。
◎日本語の授業
・ミドルスクールは週3回授業があり、10年生は週3回、11・12年生は週4回…と、他の学校と比べて多いと思われる。
・教科書はなく、先生が複数の教科書を引っ張ってきてミドルスクール、シニアスクール用にそれぞれ独自のテキストを作っている。
・クラス分けについて、時間割のYear10-12は10年生‐12年生という意味だが、MS4・MS5・MS2については特殊でありミドルスクールの7年生‐9年生が振り分けられていて、1回の授業時に複数の学年が混在するなどしていた。(MS5は主に7年生が多く、MS4は8年生と9年生が半々くらい)
・また、Year10-12ではクラスの中でもcontinued(前の学年・学期から日本語を学び続けている生徒)とbeginner(留学生や日本語の授業を取り始めたばかりの生徒)という習熟度別に2つのパートに分かれ、一人の先生が同じ教室内でそれぞれに授業をしていた。
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月曜日 |
火曜日 |
水曜日 |
木曜日 |
金曜日 |
1 (8:25-9:25) |
MS4 |
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Year11 |
MS4 |
MS5 |
2 (9:25-10:25) |
MS5 |
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MS4 |
Year12 |
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3 (11:00-12:00) |
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Year10 |
MS2 |
Year11 |
Year10 |
4 (12:00-13:00) |
Year12 |
Year12 |
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MS5 |
Year12 |
5 (13:40-14:40) |
Year11 |
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MS2 |
Year11 |
6 (14:40-15:40) |
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Year10 |
MS2 |
※10:25-10:40はTAG(日本の学校のホームルームのようなもの)がある。
10:40-11:00は小休憩。
13:00-13:40はランチタイム。
・生徒のレベル
7年生のレベルはひらがなとカタカナが小テストをして確認しないといけないくらい危うい状態。ミドルスクールはクラスの中でも学年・レベルがバラバラなので、よくパソコンソフトを使用しての個人学習が多かった。ハイスクールになると、ある程度語彙力もつき簡単な日本語で質問をしてくる。12年生はみんな日常会話がスムーズにできるくらいのレベルである。
◎授業の様子
実習では、ミドルスクールには日本の文化学習で習字を教え、シニアスクールにはテキストの課を教えた。ミドルスクールにはやはり直接法が通用せず、英語で説明し、生徒も英語で質問をしていた。シニアスクールは日本語で授業しても問題なく、どうしても理解できないところを英語で補足するくらいで割とスムーズに進められる。
◎各学年の様子
MS5…今学期から日本語を学び始めたばかりの初級レベルで、ほぼみんな同じレベル。授業ではひらがなで動物の名前が書かれたフラッシュカードをよく使用していた。みんな日本語に興味津々と言った感じで勉強熱心な生徒が多かった。この学校にはスキップの制度もあるらしく7年生が多い中、なんと9歳の子もいた。
MS4…2つの学年が混在するからか、まとまりが無いように感じた。レベルはMS5より上だけれど、それでもひらがな・カタカナの小テストをしてみると間違いが多かった。
MS2…男女ともにやんちゃな子が多く先生が一番頭を痛めていたクラスで、授業を進ませないようにふざけて妨害することもしばしば。しかし、ちゃんと勉強している子も中にはいたし、たまにやる気になれば活発に質問していた。
一貫してシニアスクールの生徒は活発な時と真面目に学習するときと分別があるので教えやすい。
Year10…ひらがな・カタカナはある程度マスターしていて、実習ではよくbeginnerパートで比較級・最上級についてのテキストの課を進めたり、単語クイズを出したりした。
Year11…2つのパートに分かれているが全員で8名という少人数で、continuedとbeginnerの両方のパートで実習を経験した。continuedではテキストで「道を教える」ことをテーマにした課を担当した。ワークシートを使ってペアワークをしてもらい、あとでみんなの前で発表してもらったりした。このクラスは日本語で授業を進めても問題はなく、たまに解らない所を英語で説明するくらいだった。
Year12…みんなずっと一緒に日本語を勉強してきているので習熟度は同じレベル。5人しかいないが、和気あいあいとした雰囲気の中、真面目にするときは 集中して取り組んでいるので少人数教育が上手くなされていると感じた。実習では生徒と1対1になって私が日本の行事について質問し、生徒に詳しく答えさせるインタビュー形式のことをした。このクラスもほぼ日本語で授業を進められた。
◎日本語の先生
日本語の先生は2人(二人ともオーストラリア人)。私のほかに、オーストラリアの大学から一人実習生(オーストラリア人)が来ていた。
・指導教員:Danielle
de Witt 先生
生徒みんなから慕われている、穏やかな女性の先生。日本に留学経験もあり、日本語が堪能なのはもちろん、日本文化にも非常に詳しかった。
今回はDanielle先生が産休に入られる直前にお世話になり、大変な時期にも関わらず指導していただき、また色んなことにもチャレンジさせていただいてとても実りある実習となった。特に、先生からはクラス・マネジメントの仕方について学ぶものが多かった。
◎ホームステイ
・Murdochのミドルスクールに通う生徒の家にお世話になった。ベッドルームやリビング、バスルームは別に与えられ、プライバシーを守れる環境を作ってくれた。
・放課後や週末は必ず観光やお出かけに連れて行ってくれたし、学校から帰ってきてから夜寝るまでファミリーとずっと一緒に過ごし、特に7年生の女の子と小学5年生の男の子とはトランポリンやWiiや折り紙で毎日遊んでいた。
・常に気にかけてくれて、何不自由なく過ごせたのは本当にありがたかった。
◎アドバイス
・お小遣いはキャッシュはあまり持って行かず、カードを使えば便利。お土産はやっぱり日本独特のものが喜ばれると思う。私は扇子・緑茶・煎餅と子供向けにポケモンの本と折り紙なんかも持っていった。一般的なしょうゆ味で硬い煎餅は向こうでも買えると思ったので、向こうにないようなハッピーターンをプレゼントしたらファミリーにも学校にも好評だった。
・あと女の子限定で、向こうの生理用品はあまり良くないので心配なら予備で持って行った方がいいと思う。
・思っていたよりオーストラリアの冬は寒かったので、個人的に機内での乾燥対策で、外でマフラー代りにも使える薄手のストールが役立った。
◎裏話っていうほどではないけど…
・ホストマザーがおちゃめな人で毎日ランチのほかにおやつも持たせてくれるのだが、2回ほど袋入りのインスタントのうどんが入っていた時はとても困った。あとから聞くと「あら、UDONは日本人にとっておやつのようなものだと思っていたわ。」とジョークを言っていた。
・実習を終えた後オーストラリア実習組で観光をしたのだが、竹杉さんとデパートで買い物してたら、子供服売り場で私だけおじいさんに呼び止められてキッズものの服をいきなり体に合わせられた。びっくりしたけれど、どうやらお孫さんにプレゼントする服を選んでいてたまたま通りかかった私の背丈がちょうどお孫さんとピッタリだったらしい。
●藤光先生について
実習が終わってみんなで合流した夜、藤光先生が食事に連れて行ってくださった。お会いするまで勝手にテキパキしたキャリアウーマンみたいな方だと想像していたが実際にお会いしてみると、物腰が柔らかくてほんわかした優しい方でその上聞き上手でいらっしゃったので、とてもお話がしやすかった。
こちらの教育事情や日本の学校との違い、また私たちがこれから教育者になるときに考えなければならないことなど、ためになる話をたくさんしていただいた。
藤光先生と直にお話できたことで、背すじをしゃんとさせられる気持ちになり、改めて外国人に日本語を教えることの難しさを感じた。しかし、同時に問題も多い分、やりがいもあるものだと思った。
今回、藤光先生にはお忙しいにも関わらず私たちの実習のお世話をしていただき、また直に実習の報告をできる機会も作っていただけたことをとても感謝しています。